動画は、ストーリー性があって、感動するものであれば、ある程度長尺のものでも、最後まで視聴される傾向があります。
視聴者はまるで映画を見ているかのように引き込まれ、ついつい、最後までスキップを押さずに動画を見てしまうのです。
トヨタがYoutubeにアップしたのは、「Loving Eyes – Toyota Safety Sense」で、CMとしては異例の3分26秒の動画なのですが、テレビ放送ではなくインターネットで視聴されることを目的として作られています。
父親を通じて娘を見守る視点、その次は同じ家族を娘から見守る視点で、出産から、成長、結婚、孫の誕生までをストーリーにしています。
最後は、「愛とは、見えないところで見守ること。そのまなざしを、クルマにも。」と、衝突回避支援パッケージであるToyota Safety SenseのCMにうまくつなげています。
クルマを軸にしたストーリーを展開することで、家族に欠かせないクルマと、それを提供しているTOYOTAのブランディングを行っています。
動画は650万回再生され、CMとしては異例の成功をおさめたといえるでしょう。
では、この動画の、どこが優れているのかを見ていきましょう。
この動画は、Father’s Viewと、Daughter’s Viewの2パートにわかれています。
片方だけでも動画は成り立つぐらい、どちらも優れた出来です。
同じ風景を、2つのViewから撮影することで、視聴者の離脱を防いでいます。
たとえば、動画を2つに分割して、それぞれを衝突回避支援パッケージのCMとすることもできるでしょう。
TVでCMを流すのに父の視点だけをつかっても良いですね。
3分26秒も動画はあるのですが、次に何が来るのかわかっていても、ついつい見てしまう、そんな動画に仕上がっています。
非常によくできたCMで、クルマを介した、父と娘の絆がよく伝わってきます。
動画をよく見てみましょう。家族の成長にあわせて、クルマを買い替えているのですが、娘が成長して、お金がかかる時期だけ、クルマの買い替えが行われていないのです。
また、娘が小さいときは、まだビデオ機器も進化していない頃だったので、多少映像が古く、画像をわざと劣化させていますし、父親のファッションや髪型なども、比較的時代にあわせたものに設定されています。
このように、細部まで非常に作り込まれているため、クルマ好きがみても、ぐっとくる作りになっているのです。
当然ですが、時代背景にあわせて、最初の頃は昔のクルマになっています。
トヨタもよくこんなクルマを保存してたな、というぐらい、時代にあわせた車が登場しますよ。
ファミリーの中で、車を運転することが多いのは、お父さんだと思います。
その父親の視点で、運転中の物語がよく描かれています。
ストーリーにあわせて、登場する車や小物も変化し、時代を感じさせます。
ファミリーにとっては、追体験ができて、「うちにもこんな時代があったな・・・」という風に思い出させることにつながり、とくにお父さん世代にとっては、いま子育て真っ最中の世代にとっても、「将来は孫を乗せて、安全に運転したい」という人生計画を思い起こさせてくれるでしょう。
将来計画、家族計画の中に車がさり気なく入っていることは、トヨタのブランディングにつながります。
TOYOTAはそれ時点ですでにブランドが確立されていますが、それでも、これは一種のブランディングです。
非常によくできており、人生に車は欠かせないとのメッセージを伝え続けています。
やはり、動画が伝えることができる物語の力、ストーリーテリングの力は絶大です。
静止画や写真よりもはるかに多くの情報を伝えることができ、物語性をもたせることができます。
企業のブランディングや販売促進、マーケティングにも役立ちます。
このTOYOTAのCMも、とくに車を売ろう、売ろうとはしていないのですが、自然と車が欲しくなる、幸せな人生には車が必要だ、しかも、家族の安全を守るためには、衝突回避支援パッケージが必要だというメッセージを、自然と受け取ることができます。
これは、非常に優れたマーケティングかつ、ブランディングだと言えるでしょう。
動画が650万回再生されたのも、当然だと言えるかもしれません。
動画には、ストーリーを伝える力があります。
直接的に製品をプッシュしなくとも、趣向を凝らした物語を投入することで、商品の販売促進効果は絶大です。
このCMを見て、次の車はトヨタにしようと思った人も多いのではないでしょうか。
それぐらい、よくできたCMだと言えるでしょう。
動画のストーリーの力を体感したい人は、このTOYOTAのCMを良く見てみて下さい。
学ぶべきところは数多くあることだと思います。
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