こんにちは、動画マーケティングの教科書編集長の隈部です。
最近、ご相談の多い採用動画について、人事・採用担当者にとって少しでも役立つような情報をこちらでお伝えできたらと思います。
近年、企業の新卒、中途採用で動画を活用するケースが年々増えています。
大企業では当たり前になっていますが、例えば、弊社クライアントの中には毎年5人ほどの新卒を採用する規模の中小企業でも、動画を精力的に活用している会社もあります。
なぜ、企業が毎年、予算をかけて採用動画をつくるのでしょうか。
一言で言うと、『動画による良い結果が得られる』からです。
弊社クライアントからお聞きした中で、
具体的に、採用動画でどのような成果が生まれたのか数字を公開いたします(一部抜粋)
・応募者数の増加(前年比 A社 180%アップ、B社 520%アップ)
・内定辞退率の低下(28% → 12%)
・入社後3年以内の離職率の低下(25% → 0%)
・一人当たり採用コストの減少(120万円→70万円)
ここからわかるのは、動画では会社の魅力を伝えることができ、同時に求職者のエントリー、説明会参加時にフィルタリング機能も働き、結果的にはミスマッチ防止に効果的ということではないでしょうか。
さらに、数値としては出ていませんが、活躍する人材の割合が増えたという効果も出ています。
これは、会社が求める人物像を、既存社員の中からモデルケースとして選び、動画に登場してもらうことで、似たような意識、価値観をもった属性の学生を集めやすくなっているからこその結果でしょう。
さらに、副次的な効果として、動画制作をきっかけに
・既存社員のロイヤルティが向上した
・コミュニケーションを取る機会が増えた
・取引先からの印象アップという効果
その他、学生の親御さんが動画を見たことで、その企業に対して「安心した」と言う印象を持たれるなど、採用動画に期待できる効果はとても大きくなっています。
このように動画への期待が高まる中、採用に効く動画とは、どのようなものか考察してみたいと思います。
これから説明を進めていきますが、その前にまず1本の動画をご覧ください。
ご覧の通り、映像は、説明会、印刷物だけでは伝えにくい「リアル」な温度感を伝え、信頼感を醸成するには最適な道具です。映像の構成次第で、競合がひしめく業種でも、差別化させやすくなります。
しかしながら、普通に採用動画を作れば、採用が成功するのかというと、必ずしもそうではありません。
企業カラーに合わせて、必要な要素を盛り込んで採用動画を作る必要があるのです。
では、どのように動画を作るべきでしょうか?
おさえるべき要素を一言で言うなら、「応募する人たちが知りたいと思っていること、気になっていること」を盛り込むのと同時に、「企業のあり方」を伝えることです。
当社では、独自に構成要素を10のポイントとしてまとめ、この10個を映像に盛り込むことをお勧めしています。
◇「応募する人たちが知りたいと思っていること、気になっていること」とは
・どんな先輩社員が活躍しているのか( Who )
・何をしているのか、情熱を注げそうなものか( What )
・仕事場の様子、雰囲気、活躍できそうな環境があるか( Where )
・仕事内容が自分がやりたいことか、やりがいがあるか( Want )
・未熟な自分でもできるか、成長できそうか ( Can )
◇「企業のあり方を伝える」とは
・なぜ、その仕事をしているのか( Why )
・大切にしていること、理念 ( Identity / Culture )
・どんな実績、成果を生み出してきたのか(Results)
・社会(お客さん)に対して、どのような社会的意義/価値を提供しているのか( Value )
・会社のビジョン ( Future )
後に活躍する優れた学生ほど、その場所(会社)が自身にとって、本当に輝ける場所がどうか、真剣に考えています。
だからこそ、これら10の構成要素に含め、さらにストーリーとして確立させ、飽きさせることなく、共感を生みだしながら、企業の魅力を伝えていくのです。
話が少しそれますが、最近の若い世代は、スタジオの中で綺麗に撮られた広告写真よりも、日常の中で描かれるインスタグラム、メルカリのような写真の方が「本物っぽい」と感じる人が多いそうです。
ショッピングサイト、飲食店のレビューもそうですが、お店側からの一方的なオモテの情報だけでなく、リアルな声が重要視されている時代になっています。
映像を見慣れているデジタルネイティブ世代は、「リアル」であることに価値を置きます。
情報が溢れる現代、正しい情報だけでなく、嘘の情報も多く存在していることを多くの人が知っているからです。
これは採用動画も同様です。
昔よく作られていた会社紹介映像(企業VP)は、社長挨拶、沿革、事業内容など、いわゆる企業のオモテ部分のみにスポットを当てて、制作されていました。
しかし、このようなありきたりの表面だけの映像だけで共感を生み出すことは難しくなっています。
リアルを感じられないからです。
映画のように完成された企業紹介映像よりも、メイキング映像のような臨場感のある『リアル』を含めることで、映像に信ぴょう性が出てきます。
例えば、新入社員の活躍にスポットをあてた場合の一例です。
登場人物は、新規企画のリーダーを任せられた、入社2年目の社員。
不安になることもあるが、それ以上に、日々の成長、進化を実感、やりがいを感じている。
皆の前でプレゼンするシーン、上司に相談するシーン、同じチームメンバーとディスカッションするシーン、クライアント先に向かうシーンを描きながら、期待以上の成果が生まれている。
「自分一人では決して生み出すことはできなかったし、この環境、仲間がいるからこそ・・・」のようなリアルなストーリーを伝えることで、
『挑戦することが好き』『誰かと一緒にプロジェクトを作り上げることが好き』『新入社員ながら成長したいと考えている』価値観を持った学生には、ワクワクする展開の動画になります。
一方で『責任感のある仕事はしたくない』『定時には帰りたい』と思っている学生からのエントリーは防止できるフィルターが働きます。
表面からは見えないリアルなストーリーを描くことで、集めたい属性の学生が「共感を持つ」映像に仕上げることが可能になります。
現在、この「リアル」を伝えるために、多くの企業の採用動画に最もよく使われている形式がインタビュー映像です。
弊社でも、お客様に相談された時に、採用動画をコストかけずに作りたいなら、インタビュー形式の映像をオススメしています。
さらにクオリティを求めるお客様ならば、ストーリー性のあるドキュメンタリー映像をオススメしています。
リアルに「働いている人」に密着したドキュメンタリーは、最も効果が期待できるスタイルの採用動画といってもいいでしょう。
動画は何分がいいの?とよく聞かれますが、正解はありません。
ただ、これらの「リアル」を含ませながら、上に書いた10の要素を入れようとすると、1、2分の映像に収めることはなかなか困難です。
ウェブ動画は一般的に、2分以内の短い動画がいいとされますが、それはあくまでも潜在層、非認知ユーザーへの場合。
見込み度合いの高い求職者向けのクロージング、ロイヤルティ向上を目的としたストーリー性のある動画は5分、10分といった尺でも見てもらえます。
また、企業の説明会で上映するなら、基本的に離脱はありませんので、最後まで見てもらえます。(長くても15分以内、可能な限り10分以内に)
長い映像のメリットは、何と言っても伝えたいことをきちんと伝えられること。
これにより、視聴者に対して、特別な印象を深く残すことができるのです。
採用動画の場合、応募者は少なからず不安を抱えています。
自分はここできちんと仕事できるだろうか、どんな人たちが働いているのか。
どのようなことを学べ、その先の成長を描けるのか。
社会的に意義ある事業なのか。
人の人生を左右する採用は、企業側にとっても、自社の価値観に合い、心から共感してくれる人を採用する方が結果的には採用のミスマッチも低減でき、離職率も下げられます。
長尺の映像は、飽きさせない工夫が求められますが、競合企業と差をつけられる強力な武器となります。
当たり前ですが、この世界には色々な企業があり、色々な求職者がいます。
「結果」を重視する企業もあれば、「プロセス」を重視する企業もあります。
残業気にせず自身の成長を目指したい、稼ぎたい求職者もいれば、絶対に残業したくない求職者もいます。
どちらが正しい、悪いではなく、そもそもの価値観が違うのです。
「入社後にこんなはずではなかった」と言うミスマッチは相互にとって、望ましくないもの。
企業のカラーに応じて、訴求内容が変わり、採用動画の作り方が変わるのです。
動画を作る前に、上記の10のポイントを前提に、
企業のビジョン、求める人材像、会社の強み、登場人物の人選などを整理してから、映像制作に入ることが大切です。
マーケティングの世界には、『Storytelling is the best marketing 』という言葉があります。
和訳すると、物語を伝えるということは最高のマーケティングだという意味です。
マーケティングとは自分たちの価値をきちんと届け切る手段と考えるなら、採用にもマーケティング的な観点が求められます。
貴社のどこにスポットあてて、物語にするかが企画段階で大切なのです。
それが魅力的に伝われば、それは共感を生む最高の採用動画になるでしょう。
ただ優れた人を採用するのではなく、貴社の方向性、ビジョンに共感し、活躍できる優れた人材を採用することこそが、企業の採用において最も大切です。
ならば、そこから逆算して映像に必要要素を盛り込むことが大切なのです。
いかがでしたでしょうか?
貴社の採用活動に少しでも参考になれば幸いです。
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